この記事では公共工事の積算について解説します。
入札の基本や積算のコツから、おすすめの積算ソフトについても説明します。
どのような積算ソフトを使用しているかで、積算の効率も大きく変わるもの。
自社で使用している積算ソフトとの違いを確認されてみてはいかがでしょうか。
現在すでに積算の仕事をされている方や転職を考えている方は是非参考にご覧ください。
この記事の内容
公共工事における入札の流れ
まずは公共工事における入札の流れについて説明します。
具体的には以下の流れで進んでいきます。
- 入札へ参加
- 内容の確認
- 予定価格の確認
それでは詳しく見ていきましょう。
入札へ参加
入札参加資格を得ると、公共工事の入札に参加することが可能です。
入札に参加できることになってから、入札の日までに時間はあまりありません。
そのため、入札への参加が決まれば、急いで準備を進めていく必要があります。
内容の確認
まずは設計図書などの資料により、工事内容の確認を行うことが大切です。
どのような場所でどのような工事を行う現場なのか把握した上で積算を行っていきましょう。
現場について深く理解しておくことで、経費などについて高い精度で見積もりを行うことができます。
予定価格の確認
予定価格が事前に公表されているかどうか確認しましょう。
ちなみに予定価格とは発注者が示す工事価格の上限金額のことです。
そのためどの業者も予定価格を下回る価格で入札することとなり、その中から、最も低い金額で入札した業者が落札することができます。
予定価格が事前に公表されていれば、その予定価格に一定の数字を掛けて最低制限価格が決定され、その価格を下回ると失格となりますので、注意が必要です。
公共工事における積算の流れ
次に公共工事における積算の流れについて説明します。
ここでは予定価格が公表されていないケースについて解説します。
下記の流れで積算を進めていくことが一般的です。
- 見積もりの作成
- 積算作業を行う
- 工事価格を確定する
それでは具体的にみていきましょう。
見積もりの依頼
まずは実際に工事費を算出するために、各取引先に見積もりの依頼を行います。
正確な工事費を計算するためにも、各取引先には漏れがないように見積もりの依頼をすることが重要です。
また、各業者も見積もりに数日から一週間程度時間が必要になりますので、設計書が手に入り次第、なるべく早めに見積もりの依頼を行うことも大切です。
積算作業を行う
見積もりの依頼を済ませたら、次は積算作業を行います。
各取引先からの見積もり提出を待っている間に積算作業を進めていきましょう。
積算作業は手作業もしくは市販の積算ソフトを利用して行うことが一般的です。
現在では積算ソフトを活用して積算作業を行う業者が多いでしょう。
ちなみに積算作業とは、項目や数量が記載されている設計書から各費用を計算していくことです。
積算内容は国土交通省が作成している公共工事建築工事積算基準等資料 に基づいていることが重要です。
設計書の費用を分類すると、直接工事費と間接工事費に分けられます。
直接工事費とは工事の施工に直接かかる費用の事で材料費や労務費、直接経費の3つの事です。
一方、間接工事費とは施工そのものには関わらず、間接的にかかる費用の事です。
例えば、足場や防音ネット、現場囲いのフェンス等の費用になります。
それでは直接工事費と間接工事費についてより詳しくみていきましょう。
直接工事費の積算
先程少し説明したように、直接工事費の積算では材料費や労務費、直接経費について費用を計算します。
どのように費用を計算すればよいか悩んでしまうかもしれませんが、実はほとんどの単価が公表されています。
例えば、建設資材などの物価であれば、一般社団法人建設物価調査会が発表している資材の価格動向で確認することが可能です。
経験が浅いうちは単価の拾い出しに時間がかかるかもしれません。
しかし、経験を積んでいくと、設計書を見た際にどの資料を見れば単価が記載されているか、わかるようになります。
市販されている積算ソフトには、公表されている様々な単価などのデータが入力されています。
このため、単価拾い出しの時間を削減することができ、作業にかかる時間を短くすることができます。
間接工事費の積算
間接工事費の積算は国土交通省が制定している公共建築工事共通費積算基準 に基づいて計算することが重要です。
工事内容に応じて一定の比率が定められており、工事原価にその比率を掛けることで、工事費用を計算して項目ごとに積み上げていきます。
様々な係数があり計算が複雑ですので、慎重に積算を進めていきましょう。
計算間違いがあると、落札できたとしても赤字での工事になってしまう可能性が高まりますので、注意が必要です。
工事価格を確定する
全ての項目の費用を計算し、積み上げていくことで、最終的に全体の工事費用を確定します。
着実に積算に必要な単価を拾い出していくことで、発注者が計画している予定価格に近づけることができるでしょう。
根気強く積算作業を行っていくことが大切です。
公共工事をめぐる最近の動向
内閣官房から発表されている国土強靭化年次計画2022 の中には、激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策を進めると書かれています。
今後も安定した公共工事の予算が確保されると考えられているのです。
具体的には頻発する水災害に対応するため、河道の採掘、堤防の整備強化などの工事や、大規模地震に備えるための各施設、設備の耐震化対策工事が必要となるでしょう。
今後もしばらくは公共工事によって建築業界が支えられていく流れが継続していくものと予想されます。
しかしながら、課題としては技術力の高い職人が高齢化に伴い引退することで、人材需要がさらに高くなることです。
労働力不足に対応するため、建築現場でも機械による省人化が加速しています。
また危険が伴う建設機械の自動運転技術が高まり、危険な仕事から解放される日も近いでしょう。
2024年4月には建設業界にも残業時間の規制が設けられ、労働環境の改善は喜ばしい事ですが、労働力不足がより顕著になる恐れがあります。
安定した仕事はあるものの、現場を支える人材をどのように確保できるかが今後のポイントになりそうです。
公共工事の積算でおすすめの積算ソフト3選
公共工事では様々な工事において積算を行います。
その際にどの積算ソフトを使っているかで、作業のスピードや正確性が大きく異なります。
こちらではおすすめの積算ソフトを3種類紹介しますので、ぜひ参考になさってみてください。
具体的には以下の3種類です。
- 公共工事積算システム頂いただき
- メビウスX
- 公共工事積算システム
公共工事積算システム頂(いただき)
積算ソフト頂(いただき)は14日間無料体験版を利用できるため、実際に積算を行い、使い勝手などお試しすることが可能です。
また初期操作指導(約30分)を無料で実施することができ、スムースに利用開始することができます。
機能面では、年2回単価と歩掛が更新されることや、県庁所在地の積算資料単価と市場単価が収録されていることが魅力です。
メビウスX
建築工事に特化した積算システムであるメビウスXでは、設計書の取り込みから完成済みの設計書の印刷まで幅広くサポートすることが可能です。
また建設物価調査会・経済調査会の単価データが収録されており、自ら単価を探す時間を大幅に削減することができ、業務の効率化が可能なシステムになっています。
また建築積算特有の階層構造にも対応しており内訳を細かく入力することも可能です。
使用時の困りごとには、リモート接続ツールでパソコン画面を共有し解決策を説明してくれるため、安心してソフトを利用することができます。
公共工事積算システム
公共工事積算システムは全国各地で多くの自治体が導入している実績があります。
全国各地に営業拠点を持ち、担当営業とインストラクターが電話、メール、訪問にて積算業務を細かくフォローが受けられる点も大きな魅力です。
建設業向けにも発売以来30年の実績がある「Gaia」シリーズという積算ソフトがあります。
官公庁向けにも積算ソフトを販売している会社ですので、発注者の特徴に合わせた積算が可能であり、効率的に業務を進めることができます。
また豊富な実績があり、多数の積算基準に対応できる点も信頼できるポイントです。
その他おすすめの積算ソフトとについては下記の記事で詳しく解説しています。
積算ソフトはなにがいい?無料と有料それぞれのおすすめソフトをご紹介まとめ
この記事では公共工事の積算について詳しく解説しました。
入札に参加し、仕事を得るには、正確な積算が必要です。
限られた時間で質の高い積算を行うには積算ソフトがとても重要になりますが、積算ソフトによって機能やサービスも大きく異なります。
どの積算ソフトを使うかによって効率も大きく変わってきます。
具体的な積算ソフトを紹介しましたので、現在すでに積算の仕事をされている方はぜひ参考になさってみて下さい。