専門的な資格の中には、一定期間毎に更新する必要があるものがあります。
一度資格を取得したら終わりではなく、一定の知識を保有し続けているかや、また最新の知識にアップデートしているかを確認するためです。
積算士の資格にも、更新があります。
本記事では、積算士についてや積算士の資格の更新料などについて詳しく説明していきます。
この記事の内容
積算士とは?
積算士とは、簡単にいうと建築積算士という日本建築積算協会が発行する民間資格のこと。
住宅などを建設する際には、まず工事に必要な費用である積算が行われ、その積算を元に適正な利益を見積もった見積もりが行われます。
建築積算士は、この積算業務を専門的に行うスペシャリストといえるでしょう。
建設業界において、積算業務は小規模の会社から大企業まで必要とされる重要な業務です。
そのスペシャリストである積算士の資格は、建設業での就職を考えている人や起業を考えている人にとって有利な資格といえるでしょう。
積算士の基本事項については以下の記事でも解説しています。
建築積算士とは積算士の資格は更新が必要?
多くの資格では更新が必要とされますが、積算士の資格に関して更新は必要なのでしょうか。
以下、更新の必要性の有無、更新の頻度などについて説明していきます。
3年に1回資格の更新が必要
積算士は3年に1回資格の更新が必要となります。
資格の有効期限が3年となっており、期限前までに更新の為の講習を受けなければならないのです。
eラーニングやDVDによる講習受講が必要
建築積算士免許の更新には、免許の有効期限前までに更新に必要な講習を受ける必要があります。
講習を受ける方法として以下のような方法があります。
- 携帯電話やパソコンを用いてeラーニングにて受講
- DVDを送付してもらい受講
- 上記2つの方法が不可能な場合には他の手段により受講
インターネットやパソコンを使用できない環境であっても他の手段を提供してくれるので、通信手段やスマホ・パソコンを持っていない方にとっても安心といえるでしょう。
積算士の更新料は高額?
次に、建築積算士免許取得時や更新時に必要な金額について説明していきましょう。
建築積算士免許の更新に必要な金額は、講習受講料と免許更新手数料併せて22,000円(税込)となっています。
また、建築積算士免許時に必要な費用として、以下の通りです。
項目 | 対象者 | 費用 |
---|---|---|
受験料 | 一般 | 27,500円(税込) |
建築積算士補と学生会員 | 13,750円(税込) | |
学習プログラム
(任意) |
一般 | 12,000円(税込)+送料500円 |
建築積算士補と学生会員 | 1,000円(税込)+送料500円 | |
更新料 | 全員 | 22,000円(税込) |
例えば、一般の人の資格取得時の費用と更新時に必要な費用を合わせると受験料27,500円+プログラム購入12,500円(送料込み)+免許更新料22,000円=62000円です。
更新料を安くする方法はある?
積算士の更新料についてお伝えしましたが、高額だと感じた方も多いでしょう。
この更新料について、安くする方法はないのでしょうか。
更新料を安くする方法として考えられるのが、公益財団法人 日本建築積算協会の会員になることが挙げられます。
日本建築積算協会会員になると、以下の費用がかかります。
対象 | 会費 |
---|---|
正会員 | 入会金2,000円/年会費9,000円(65歳以上は6,000円) |
学生会員 | 入会金0円/年会費0円 |
一方で、更新にかかる費用が無料になるのです。
更に会員特典として、会誌をもらえたり、書籍や講習が無料になったり、見学会参加や会員同士の交流などを深めることができることなどが挙げられます。
免許更新は3年に一度なので、会費3年分で9,000円×3年=27,000円と入会金2,000円で29,000円かかります。
一方、免許更新料(22,000円)との差額7,000円で様々な特典を受けられることを考えると、魅力的といえるのではないでしょうか。
ちなみに、4月1日までに年会費支払い手続き完了(3月20日頃までに納入の必要)すれば会員として登録されます。
更新料無料の権利を得ることができるので、更新年度の方で会員になるかどうかを検討されている方はご注意ください。
更新を忘れたらどうなる?
更新を忘れると、他の資格同様ですが、失効となり資格者と名乗ることができなくなりますので、注意しましょう。
積算士の資格を更新するメリット
積算士の資格を更新するメリットとして、次の3つが挙げられます。
- 積算士として名乗ることがーできる
- 会社から資格手当を貰えるケースがある
- 仕事を受注しやすくなる
以下、説明していきます。
積算士として名乗ることができる
なんといっても積算士として名乗ることができるかできないかの差は大きいでしょう。
積算業務は建設の仕様や条件によって細かく配慮して費用を算出していく必要があり、知識や経験などが必要とされる重要な業務です。
大企業の入札などにおいては積算士をチームに置いておかなければいけないことが条件として挙げられることがあります。
また、積算業務のプロフェッショナルである建築積算士を名乗れるかは大変重要であるといえるでしょう。
転職や起業を考えている人にとっても資格の有無は信用度としても大切になります。
会社から資格手当を貰えるケースがある
建築積算士の資格を取れば資格手当として給与に加算される企業もあるでしょう。
勿論手当の金額にもよりますが、積算士資格を持っていることで毎月の給与が高くなるのであれば、それは資格更新する大きなメリットといえるでしょう。
仕事を受注しやすくなる
積算士資格更新のメリットとして、仕事を受注しやすくなるということも大きなメリットです。
先述したように、大企業の入札案件などにおいては建築積算士資格者がチームにいることが条件となっている場合もあったり、もちろん一般の業務においても資格者が積算業務を行うということは大きな信頼に繋がるので、仕事を受注しやすくなるといえるでしょう。
ただし、資格独占業務はないため、資格が失効したからといって即仕事を失うといったことはありません。
また、一級建築士などを取得した方にとってはメリットが小さくなってしまうといえます。
積算士の資格を更新するデメリット
積算士の資格を更新するデメリットとして、次の2つが挙げられます。
- 更新料を支払い続ける必要がある
- 講習を受講する必要がある
以下、詳しく説明していきましょう。
更新料を支払い続ける必要がある
3年に一度の更新料22,000円を支払い続ける必要があるということは、積算士の資格更新の大きなデメリットといえるでしょう。
ただ、先程述べたように公益社団法人 日本建築積算協会の会員になることで更新料を無料にして最新の情報収集や会員同士の交流を持てる特典を受けることが出来る方法などもあるので、デメリットを軽減することができると言えます。
講習を受講する必要がある
積算士免許更新のデメリットとして、更新する為には講習を受講しなければいけないということも挙げられます。
講習の具体的な所要時間としては、2~30分程度の講座が10個程用意されており、受講後簡単な確認を行い、期間内であれば何度も講座を見返すこともできます。
確かに忙しい日常の中で時間もかかり、デメリットといえるかもしれません。
しかし、積算業務という建設において大変重要な業務の為の知識維持と向上の為と考えれば、更新の為の講習受講もメリットとして捉えることもできるのではないでしょうか。
まとめ
以上、積算士の更新について説明しました。
工事において重要な積算業務。積算業務のプロフェッショナルといえる積算士は、これから益々必要とされることでしょう。
積算士資格更新には決して安くない費用がかかってきますが、今回説明したメリットやデメリット、かかる費用を減らす方法などを参考にしていただきたいと思います。