歩掛りの概要とメリット

歩掛りの概要とメリット

歩掛りとは?<歩掛りを使うメリット>

歩掛りとは作業費を算出するために、特定の作業にかかる手間を係数(数値)にしたものです。歩掛りが持つ重要な役割・メリットは以下のようなものが考えられます。

見当違いの積算を防ぐ

何かしらの根拠に基づくことなく、作業の手間を想像や推測で見積もると積算を大きく見誤る原因になります。特に手間の割合が大きい工種や工数が多いケースでは、致命的なミスになりかねません。歩掛りを使うことで、経験のない工事であっても適正価格を大きく下回る、あるいは上回るといった大幅な見当違いを避けることができます。

赤字工事を減らす

本来の適正価格を大きく下回る積算を防ぐことは工事費用が赤字になる可能性を下げ、結果的に全体の収益を確保することにつながります。

失注の可能性を下げる

本来の適正価格を大きく上回る積算を防ぐことによって、高すぎて受注できなくなるなどの事態を防ぎます。また、施主(顧客)からの信頼を得ることにもつながり、失注の可能性を下げる一助になると言えます。

適切な工期・人員管理

作業を数値化することで、正しい工数や手間を把握することができます。そのため必要な人員数、日数の目途を付けることが可能となり適切なスケジュールを組むことに役立ちます。現実的で根拠のあるスケジュールを予め設定することで、施工(会社)、施主(顧客)、作業員(下請け)が安心して工事に臨むことができます。

歩掛りの考え方

歩掛りを考えるにあたり必要な要素は、「工事の種類」「材料の種類・施工方法」「作業者の属性」「作業環境」「作業の単位」「数量」「人工の単価」などで、これらを元に積算を算出します。同じ工事でも扱う材料により作業の手間が変わってくるといったことが考えられるため、複数の要素を考慮して積算を行う必要があります。

工事の種類

工事の種類は無数にあるため、自社の過去事例を参考にできないことも多いと考えられます。そこで国土交通省が発表している「公共建築工事標準単価積算基準」を参考にすることができます。人件費などの変動により毎年見直しがされています。

https://www.mlit.go.jp/gobuild/kijun_touitukijyun_s_hyoujyun_bugakari.htm

こちらの公共建築工事標準単価積算基準では、材料の種類別など細かく歩掛りが設定されていますが、工種によっては当てはまらないものもしばしばです。その場合は積算事務所など、専門家に相談するのもひとつの選択肢です。

材料の種類・施工方法

使用する材料や施工方法によって歩掛りは変わってくることがあります。素材の厚みや重さなどにより施工方法が変わることもあります。また加工の有無も異なったり、材料ごとの作業の難易度なども考慮しなくてはなりません。

作業者の属性と難易度

経験値や難易度の高い技術を伴う作業ほど、作業者の能力、属性に歩掛りは左右されます。単価は高いけれど経験者による施工にすべきか、予算や工期を優先すべきか、施主や顧客先の要求レベルなどを見極めた上で歩掛りを検討する必要があるでしょう。

作業環境と関連作業

作業現場が屋内か屋外か、高さはどのくらいなのか、足場の仕様はどのようになっているか、作業時の季節や気温との関係なども含め、作業環境が作業の質とスピードに与える影響を考慮する必要があります。

・作業量の割り増し

例えば繰り返しの作業は、作業が進むにしたがって一般的にスピードは向上します。その場合標準の歩掛りに1.1倍、1.2倍といった割り増しを考慮する必要があります。
(国土交通省が発表している公共建築工事標準単価積算基準では、標準の歩掛りが設定されています)

歩掛りを使った積算算出の具体例

上記を踏まえ、歩掛りを使った積算算出の具体例をご紹介します。

100㎡の屋根を葺く場合

例えば100㎡の屋根を葺く工事の場合、まず屋根の下地工事が必要となるため、その工事について考えていきたいと思います。

積算を算出するために必要な情報をまずは書き出してみます。

工事の種類:屋根の下地工事
材料の種類:野地板
作業の単位:㎡
数量:100
作業者:大工

これらの情報を元に、国土交通省の「公共建築工事標準単価積算基準」を参照すると、
「野地板」を使用した「屋根下地工事」は「大工さん」が作業する場合1㎡あたり「0.027」という歩掛りが設定されていることが分かります。

作業員1人が1日にできる作業量を建設業界では「1人工(にんく)」という単位で表しますが、この工事の場合1㎡あたり「0.027人工」要するということになります。

人工の単価を20,000円とした場合、

(20,000円×0.027)×100㎡=54,000円

つまり54,000円が積算によって算出された屋根下地工事の総額となります。

歩掛りは積算の精度を上げるために非常に有効な手段となりますが、実際の工事では「公共建築工事標準単価積算基準」を参考にできないことも多々あります。工事種別や実現場を想定した割増など、考慮すべき要素が多岐に亘り、一筋縄ではいかないこともしばしばあるからです。

そういった際には、積算事務所などの専門家の活用も検討してみてはいかがでしょうか。