施工計画書は工事の安全性や効率を高めるため、必要な工程や組織図などを詳しく記載しているものです。請負代金が500万円以上かかる場合は必ず施工計画書を作成し、監督者へ提出しなければいけません。
しかし、施工計画書は記載内容も多く、詳しくわからない方もいるでしょう。この記事では施工計画書の記載内容や作成方法などを解説します。
この記事の内容
施工計画書の基礎知識
施工計画書は、一般的に請負代金が500万円以上ならば必ず工事前に監督者へ提出します。しかし、500万円未満でも支持があった場合は提出しなければいけません。
そのため、さまざまなプロジェクトで施工計画書を作成する機会はあるでしょう。施工計画書に記載する内容と作成期限をご紹介します。
記載内容
施工計画書の主な記載内容には、以下の14項目があります。
工事概要(工事全体の概要を記載)> | ・工期 ・工事内容 ・工事場所 ・請負金額など |
計画工程表(全体の計画を記載) | ・施工順序 ・工種ごとの施工期間 |
現場組織表(組織構成を記載) | ・管理者 ・現場の命令系統 ・業務分担など |
指定機械(設計図書で指定されている機械の情報) | ・名称 ・台数 ・規格 |
主要船舶・機械 指定されている機械以外の機械に関する情報(工事で使用するもの) |
・名称 ・台数 ・規格 |
主要資材(使用する資材に関する情報) | ・品名 ・数量 ・規格など |
施工方法 | 主要な施工方法・順序(計画工程表よりも詳しく) |
施工管理計画 | 完成形や品質・工程など、工事全般の管理方法 必要に応じて図表などを使用される |
>安全管理 | ・事故防止に関する事項 ・安全管理組織 ・現場内の点検整備 |
緊急時の体制及び対応 | ・事故や災害が発生したときの連絡体制 ・資材や設備の確保体制 |
交通管理 | ・現場周辺の交通安全対策 ・規制方法 ・過積載防止対策 |
環境対策 | ・騒音や振動などへの対策 ※公害発生を予防するため |
現場作業環境の整備 | ・現場や事務所の環境整備に関する計画 ※周辺環境に即した内容に調整 |
再生資源の利用の促進と建設副産物の適正処理方法 | ・建設副産物の処理方法 ・再生資源の活用方法 |
なお、上記以外の項目にも「安全訓練の活動計画」や「イメージアップ施策の実施内容」といった内容を追加されるケースもあります。必ずしも上記の14項目だけを設定すれば良いわけではなく、工事の内容から現場の状況などを踏まえて柔軟に調整してください。
作成する期限
施工計画書は遅くても工事開始の3週間前には提出しなければいけません。前述した通り、記載する項目が多いので施工計画書の作成には一般的に1ヶ月前後かかるといわれています。
また、発注者から工事内容の見直しなどを要求される場合もあるため、早め々に取り組む必要があります。加えて、施工計画書は工事に必要な費用の算出するときにも使用されるため、見積もりを行うときまでに作成しておかなければいけません。
施工計画書作成前に把握しておくべき3つのこと
施工計画書の作成前に把握しておくべきことは大きく3つあります。
- 工事の手順
- 各作業員の役割
- 使用機材や材料
工事の手順
まずはプロジェクトや事業計画の内容を把握し、具体的な工事の流れを把握していなければいけません。施工計画書は工事の流れを記載しないといけないため、自分が把握していないと作成に時間がかかってしまいます。
それだけでなく、各工事の方法や安全性などを明確に記載していなければ、トラブルの原因にもなりかねません。安全に工事を行うためにも細かく工事について把握し、記載しなければいけません。
また、建築工事などでは鉄筋工事や内装工事の内容などを記載し、施主へ承認を取らないといけない場合もあります。このように、施工計画書の内容はしっかり記載しなければいけないため、まずは細かく手順を把握しましょう。
各作業員の役割
施工計画書には各作業員の動きも記載します。そのため各作業員の役割を把握していなければいけません。施工計画書を作成する際は5W1Hについて記載するとよいでしょう。
5W1Hとは、以下のとおり。
- Who誰が(どの現場担当者・作業員が)
- Whenいつ(どのタイミングや日時で)
- Whereどこで(工事現場のどの場所で)
- What何を(どのような作業を)
- Whyなぜ(どのような理由で)
- Howどのように(何を使って行うのか)
つまり、誰がいつどこでどのような作業をするのか知らないといけないのです。ここまで詳しく記載することで、自分の動きをイメージしやすくなり円滑に作業が進むでしょう。また、トラブルが起きた際の対応する人や連絡先を記載することで安全性も高まります。
そのため、各作業員の動きや役割を把握しておくとよいでしょう。
使用機材や材料
施工計画書には使用機材や材料も記載します。そのため、使用できそうな機材や材料が確保できそうか把握しておかなければいけません。
当日使用可能か把握していないと、施工計画書には記載してあるのに使用できず作業が進まない、という事態に陥ってしまう可能性があります。
資材も輸入や輸送の問題で確保が難しい場合もあるので、しっかり確認しておくべきでしょう。また、資材に関しては費用の算出の参考にもなるため、単価や個数まで把握しておくとよいでしょう。
施工計画書の作成手順5ステップ
施行計画書を作成する手順は以下の5ステップです。
- 工事の全体像を把握する
- 現場の状況を確認する
- 発注者と擦り合わせする
- ひな形を用意する
- 施工計画書を作成する
工事の全体像を把握する
まず、工事の期間や内容など全体をまずは把握します。
契約書や設計書、図面など工事に関わる全ての書類をしっかり確認し、詳細まで把握しましょう。
現場の状況を確認する
続いて、現場の状況を逐一確認し、状況を確認してください。
ただ現場を眺めるのではなく、実際の工事をシミュレーションしながら各フェーズの精査をしていく必要があります。
発注者と擦り合わせする
そして確認した内容をもとに、発注者と工事内容など協議し、問題ないか擦り合わせましょう。
ひな形を用意する
ひな形を用意すると比較的楽に施工計画書を作成できます。
会社で決まったひな形がある場合は問題ありませんが、もし無いならばExcel用のテンプレートもあるため活用しましょう。
施工計画書を作成する
ひな形に必要項目を記載し作成します。必要な場合には資料などを添付するとよいでしょう。
施工計画書作成に便利なツール
施工計画書の記載内容を紹介しましたが、項目も多く作成が難しそうと感じられるでしょう。実は、施工計画書の作成に使える便利なツールがあります。
今回はExcel用のテンプレートをご紹介します。
Excel用のテンプレート
実は施工計画書の作成は、Excelのテンプレートを活用すると比較的簡単に作成できます。効率的に施工計画書が作成できるように、さまざまなサイトでExcel用のテンプレートが配布されているため、自分が使用しやすいものを探してみるとよいでしょう。
中でも日本建設業連合会が配布するExcel用のテンプレートは、とても利便性が高く使用しやすいです。無料でダウンロードし、必要事項を記載するだけなので手軽に作成できるでしょう。
また、テンプレートを社内で共有しておけば、形式に大きな差も生まれず管理しやすいのでぜひ活用してみてください。
まとめ
施工計画書とは何か、記載する内容や作成方法について解説しました。
施工計画書は円滑、そして安全に工事を遂行するために工事内容などを具体的に記載する書類です。工事開始の約3週間前には完成させなければならず、作成にも時間がかかるため早めに作成することが大切です。
作成には工事の内容や作業員の動きを把握しておかなければなりません。作成前から発注者や業者などと話し合い、工事の内容について理解しておくことで、円滑に施工計画書が作成できるでしょう。
施工計画書へ記載する内容が多いため、難しそうに思う方も多いでしょう。しかし、簡単に作成できるテンプレートなどもあるため、ぜひ活用してみてください。