積算における数量の拾い方についてお調べでしょうか。
数量拾いは積算における基本的な作業ですが、本記事では、改めて基本をおさらいするとともに、注意点やテクニックなどご紹介していきます。
この記事の内容
建築積算数量の拾い方とは
建築積算における数量の拾い方とはどのようなものなのでしょうか。
ここでは、基本的な内容をおさらいする形で解説していけたらと思います。
拾い出しは積算における主要な業務
拾い出しは積算における基本的かつ主要な業務だといえるでしょう。
積算は工事費用を算出するものですが、工事費用は以下の計算式に基づいて算出されます。
工事費用(工事の種類ごと):数量×単価×金額
上記計算式のうち、数量を求めるのが拾い出しです。
設計図面を見ながら、図面から数を拾っていくことになります。
所要数量とは
所要数量とは、必要な数量という意味ですが、積算においては、国土交通省の公共建築数量積算基準によると以下のように定義されています。
所要数量とは定尺寸法による切り無駄や施工上やむを得ない損耗を含んだ数量をいう
これは、積算においては図面をもとに必要な数量を拾っていく一方、それを施工する実際の現場では、切り無駄などさまざまなロスが発生することが多いことから定義されているものだといえるでしょう。
どの程度のロスが発生するかは部材によって異なりますが、ロスが多く発生しやすい部材などは、必要な数量を多めに算出するといった工夫が必要になるのです。
なお、積算において、数量を示すものに、所要数量以外に「設計数量」といった言葉もあります。
設計数量は、図面に記載されている数量をそのまま用いる数量のことを指します。
数量を算出する際には、最初に設計数量を算出した後、ロスが多い部材などはロスを考慮した所要数量を算出すると考えるとよいでしょう。
ちなみに、設計数量から所要数量を算出する際には、設計数量に「割増係数」をかけて所要数量を求めます。
この割増係数は公共建築数量積算基準で部材ごとに標準数値が定められているので、確認しておくとよいでしょう。
建築積算で数量拾いする際の注意点
積算で数量拾いする際には、以下のような点に注意しましょう。
- 数量の拾い落としをしない
- 計算間違い、桁間違いをしない
- 転用、転記を間違えない
以下、それぞれについて解説します。
数量の拾い落としをしない
まずは数量の拾い落としをしないようにしましょう。
拾い落とししてしまうことで、最終的に現場に必要なものが届かないということになってしまう可能性があります。
図面から数量拾いする際には、マーカーでチェックしながら進めていくといった工夫をするとよいでしょう。
計算間違い、桁間違いをしない
計算間違いや桁間違いにも注意が必要です。
計算間違いで必要な数量より低く計算結果が出てしまった場合には、拾い落としと同様、現場に必要なものが届かない結果になる可能性があります。
桁間違いをしてしまうと、取り返しのつかないミスにつながる可能性もあるでしょう。
転用・転記を間違えない
数量を拾う際、文字や数字、カンマの転用・転記間違いには注意が必要です。
例えば、100,000を100.000に間違えてしまうなどして、転用・転記後に間違った方の記載を正として積算を進めてしまうと、想定していたものと大きく異なる計算になってしまうでしょう。
数量拾いのテクニック
また、数量拾いをする際は以下のようなテクニックも身に付けていくのがおすすめです。
- エクセルで数量拾いのフォームを作成する
- 見やすいマーカーでチェックする
- 数量積算基準を参照する
- 拾い出しソフトを活用する
以下、それぞれ見ていきましょう。
エクセルで数量拾いのフォームを作成する
エクセルで数量拾いのフォームを作成していくのがおすすめです。
職場で使われているフォームなどがあれば、先輩や同僚にお願いして使わせてもらうのもよいでしょう。
そうしたものがないか、あるいは属人性が高すぎるといったケースもあるでしょう。
その場合、ご自分で数量拾いをしながら、やりやすい形でフォームを作っていくのがおすすめです。
数量拾いを続けていく中で勘所が掴めてくるので、都度改良していって、効率がよく失敗のないものを試行錯誤しながら作っていきます。
見やすいマーカーでチェックする
数量拾いの際は見やすいマーカーでチェックすることを意識するとよいでしょう。
例えば、図面が書かれている黒に近い青などのマーカーだと、マーカーを引いた後に見づらくなってしまう可能性があります。
おすすめなのはイエローやピンクです。
実際に図面にマーカーを引いてみて、見やすいかどうか、またマーカーを引いた後に印刷したらどのように写るかなど試してみるのがおすすめです。
数量積算基準を参照する
数量拾いには基本的なルールが存在します。
これらのルールは、「建築数量積算基準」で確認できます。
例えば、数量の表し方や計測、表示基準など細かく規定されているのです。
こちらの基準では、数量において小数点第3位を四捨五入することが書かれています。
数量拾いをする前に建築数量積算基準を読んだうえで、実際に積算をする際に適宜読み返すといった使い方をするとよいでしょう。
上記を何回も実施していくことで、ルールに則った積算が自然とできるようになっていくはずです。
拾い出しソフトを活用する
数量拾いにはいくつか拾い出しソフトが出されています。
例えば、以下のようなソフトの利用を検討するとよいでしょう。
- 拾い出しソフト『ヒロイくんiii』
- TRS拾い
- 拾いEX
以下、それぞれについて解説します。
拾い出しソフト『ヒロイくんiii』
拾い出しソフト『ヒロイくんiii』はPDFやCADの図面データから面積や個数など拾い出すソフト。
もちろん、面積や長さ、体積から数量の拾い出しにも対応しています。
拾い出した後は、クロスや床、ボードなど自動で枚数を算出する機能もついています。
TRS拾い
TRS拾いは図面をスキャナで読み込むことで数量拾いを実施できるソフトです。
具体的には、図面をスキャナで読み込んだ後に、図面上の部位をマウスでクリックすることで自動計算するといったことが可能です。
また、数量拾いをしながら同時に数量根拠の作成もできます。
拾いEX
拾いEXはCADやPDFなどの画像図面を取り込むことで簡単に拾い出しできるソフトです。
図面を読み込むことで簡単に正確な数量拾い出しができ、手作業で行うのと比べて大幅に数量拾いにかかる時間を短縮できるでしょう。
まとめ
積算の基本である、建築積算数量の拾い方についてお伝えしました。
数量拾いは積算を行うにあたって最初に習熟する必要があるものです。
すでに積算業務に取り組んでいる方にとっても、本記事でお伝えした注意点やテクニックなど役に立つ部分もあったのではないでしょうか。
数量拾いについて基本から確認しておきたいという方は本記事の内容を参考になさってください。