設計図や仕様書から必要な資材や数量を算出し、建築業務における費用を算出する建築積算士。非常に重要な役割を担い、建築業界で活躍する人材ですが、建築積算士の年収は一体いくらなのでしょうか。
そこでこの記事では、建築積算士の年収を年齢や経験、レベル別で紹介していきます。収入アップのヒントもあわせて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事の内容
建築積算士の平均年収は422万円
結論、建築積算士の平均年収は、422万円とされています。
doda(デューダ)の平均年収調査によると、2022年における日本人の平均年収が403万円であるため、平均よりも高い数値となっています。
ただし、あくまでも平均であり、一概に積算士の年収は403万円だと言い切れません。実際には、就職先や経験値によって200〜1,000万円と収入に大きな開きがあるでしょう。
よって、積算士で高収入を目指すなら、どこに就職もしくは転職するかといったビジョンを持っておくことが大切です。
年齢別|積算士の平均年収
また、積算士の平均年収は年齢によっても開きがあります。
年齢 | 平均年収 |
---|---|
20代前半 | 347万円 |
20代後半 | 394万円 |
30代 | 484万円 |
40代以上 | 519万円 |
20代前半の年齢では平均年収が347万円ですが、40代以上の年齢では平均年収が519万円と右肩上がりです。
積算士の仕事には専門的な知識や経験が必要なため、経験豊富な世代ほど、年収が高い傾向があります。
2022年における40代の平均年収は495万円となっているため、先ほどと同様に積算士の収入は平均以上であると言えるでしょう。
経験別|積算士の平均年収
なお、建築積算士の年収に開きが見られる理由の一つに経験値があります。
実際、経験年収に応じて得られる年収に差があるため、おさえておきましょう。
経験年数ごとの具体的な年収は、以下のとおり。
経験 | 平均年収 |
---|---|
経験年数5年未満 | 約300~350万円 |
経験年数5年以上 | 420万円以上 |
表からも分かるとおり、経験年数が5年以上または未満で収入に50万円以上もの差が生じています。
このように、積算士として年収アップを目指すなら、経験値が必要であると言えるでしょう。
レベル別|積算士の平均年収
建築積算士には下位資格として、基礎知識を有する証明になる「建築積算士捕」や上位資格の「建築コスト管理士」があります。
こうした保持する資格に応じて、就職先や業務範囲の幅が異なるため、見込める年収にも差が生じます。
- 建築積算士捕:年収250万円〜
- 建築コスト管理士:年収400〜800万円
中でも建築コスト管理士は、建築業務のみならず、プロジェクトの企画立案から廃棄に至るまでのフェーズに携わり、総合的なコストマネジメントを担当します。
よって、収入が上がるにつれてその分業務レベルやかかる負担は大きいでしょう。
建築積算士の平均年収をアップさせる4つの方法
それでは、建築積算士の平均年収をアップさせる4つの方法について紹介していきます。
- 経験を蓄積する
- 資格を取得する
- 優良企業に転職する
- 副業で年収アップする
経験を蓄積する
まずは、積算士としての経験を蓄積すること。
積算は、建築業務を滞りなく進行させるために費用面からサポートする業務です。だからこそ、工事の種類や内容、数をこなし現場経験を積まなければ活躍人材にはなれません。
設計図の図面や仕様書の精査、使用資材や人件費、工事にかかる工数を算出し、見積書の作成といった業務はプロジェクト進行の軸となります。
経験別の年収についてお伝えしましたが、経験値に応じて任せられる業務範囲も拡大するので、きちんと実践をこなしましょう。
資格を取得する
次に、資格を取得することです。
先ほど、建築積算士の上位資格として「建築コスト管理士」があると紹介しました。建築コスト管理士になると、建築業務の範囲を超えてプロジェクト全体のコストマネジメントを行う役割を担うため、その分年収アップも目指せます。
建築積算士の資格取得に満足せず、さらなるステップアップとして資格取得も選択肢の一つでしょう。
なお、積算士の資格についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
積算士の資格は更新料が高額?更新するメリット・デメリットとは優良企業に転職する
そして、優良企業への転職も年収アップの秘訣です。
そもそも、企業によって設定できる給与には上限があります。小規模な企業なら、平均年収かそれ未満の収入しか提示できない可能性がありますが、大規模な企業なら優秀な人材に1,000万円を提示するところもゼロではありません。
そうした優良企業への就業は学歴や経験値がみられやすく難易度も高いですが、もしできれば平均年収以上の収入も十分に見込めるでしょう。
副業で年収アップする
なお、積算スキルを用いて副業で年収アップする方法もあります。
本業は労働時間が限られており「さらなる収入アップを目指したい」と思ってもすぐには実現しないでしょう。そこで自由時間の中でスキルを活かし、副業として働くことで収入アップが期待できます。
副業での活躍次第では、本業を超える収入を得られる可能性もあるでしょう。
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年収UPできる建築積算士おすすめの転職先3選
建築積算士の年収を上げる方法として、優良企業への転職を挙げましたが、果たしてどのような企業に就けば良いのでしょうか。
主に挙げられる企業の部類は、以下の3つです。
- ゼネコン
- 大手設計事務所
- 大手との取引が多い積算会社
ゼネコン
ゼネコンとは、ゼネラルコントラクターの略称であり、総合建築業者を指します。
担当する建築対象はさまざまで、マンションやビルはもちろん、競技場やテーマパークまで幅広く遂行。設計や施工、研究と業務範囲も広いため、年間売上は数千億円にも及びます。
またゼネコンといっても、主に以下の種類に分類されます。
- スーパーゼネコン
- 準大手ゼネコン
- 中堅ゼネコン
- マリコン
特にスーパーゼネコンは、清水建設や大林組、大成建設、鹿島建設、竹中工務店の5社を指し、年収1,000万円を超える人材も多いです。
ゼネコンに就職できれば、需要の高いリーダー的な役割を担い、経験を積めるだけでなく年収も高まる傾向にあります。
大手設計事務所
オフィスや実店舗をはじめとする社会インフラを設計する大手設計事務所は、年収アップを期待できる転職先です。
大手設計事務所には、デザインの考案と図面作成といった設計業務や正しく工事が行われているかチェックする監理業務の2つがあります。これらを正確に実行するには積算の役割は欠かせません。
社内の存在価値は大きくなり、高収入を目指せます。
実際、株式会社日建設計の平均年収は600〜800万円のレンジであり、活躍次第では年収1,000万円以上も目指せるでしょう。
大手との取引が多い積算会社
また、大手との取引が多い積算会社でも高収入が期待できます。というのも、基本設計における概算見積もりや実施設計時の積算といった依頼を受けられるのは、それだけ信頼値が高いからです。
ここで示す大手というのは、ゼネコンや設計事務所のこと。大手となればアウトソーシングの費用も比較的大きくかけてくれるため、その分高収入を実現しやすいでしょう。
また、大手企業からの依頼を引き受けるため、スキルレベルのアップや経験値の蓄積も叶います。
年収が高い積算事務所はキツい?
積算士の仕事はきついと聞くこともありますが、年収が高い積算事務所は本当にきついのでしょうか。
残業や働き方について詳しく見ていきましょう。
積算士の仕事で残業が多いことはある
繁忙期には仕事が立て込み、残業が多くなりやすいです。
例えば、決算前や四半期の締めの月などは受注や発注が多くなり、残業が発生しやすいタイミングです。
地道に数字と向き合い着実に仕事を行う為には、残業を行う必要があるため、きついイメージがあるのかもしれません。
しかし、繁忙期以外であれば割と自分のペースで仕事を進めやすい職種です。
そのため、積算士は子育て世代の女性が活躍しやすい仕事といえるでしょう。
積算システムの導入で効率化している
積算システムを導入している企業がほとんどで、昔と比べると効率化しやすい環境になっています。
ただし、積算システムのお陰で数量拾い出しや積算業務などは楽になっていますが、建築の工法や材料・素材など、次々に新しいものが登場しますので、常に最新の情報を学び続ける必要があります。
いかに効率化されようとも、最後は積算士の専門的な経験や知識が重要であるため、ベテランであろうとも勉強を疎かにはできません。
きついかどうかは転職先次第
積算士の仕事に限ったことではありませんが、きついかどうかは転職先の環境次第です。
企業として労働環境が整えられていれば、働きやすいでしょう。
また給与や福利厚生の精度が整っていれば、やりがいを感じられ、さほどきついと感じないかもしれません。
自分に合った企業に転職しなければ、積算士として活躍することも難しいでしょう。
だからこそ転職先はミスマッチを生まないように慎重に検討しなければなりません。
まとめ:建築積算士のスキルを高めて年収を上げよう!
建築積算士の平均年収は422万円とお伝えしましたが、歩むキャリアによって収入は大きく変動します。よって、収入アップを目指すためには、自分が進むべきキャリアを明確化しておく必要があるでしょう。
実際には、培った経験値や転職先の企業が収入に大きく影響します。自身のキャリアをきちんと見つめて、建築積算士で年収アップを実現させましょう。