建築コスト管理士について聞いたことはあっても、具体的にどのような資格かわからない方もいるでしょう。
建築コスト管理士とは、建築に関するコストマネジメントを行うための資格です。
建築作業における全体の費用管理や資材価格の判断など重要な役割を担います。よってキャリアの大きなステップアップにもつなげられるでしょう。
そこでこの記事では、建築コスト管理士の全貌について徹底解説していきます。
建設工事などの管理業務やコストマネジメントへ興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
建築コスト管理士とはコスト管理などを行う資格
建築コスト管理士とは、建築工事の費用を算出する専門業務のエキスパートを示す資格です。建築積算士の上位資格にあたる資格であると思っておきましょう。
建築の企画から維持や保全、廃棄に至るまで全過程のコストマネジメントを行います。コスト周り全般を担当できるため、プロジェクト総括責任者としても活躍できます。
建築コスト管理士の求人も多いため、資格取得で転職にも有利に働くでしょう。
なお「公益法人日本建築積算協会」によると、建築コスト管理士に求められる主な知識やスキルは以下のとおりです。
- コスト情報収集・分析
- 広範囲な市場価格
- 発注戦略
- 調達戦略
- フィジビリティースダディー
- 積算技法
- 施工技術・工期算定
- LCC・VE及びFM・PM・CM概要
- 環境配慮
- 建築関連法規
- IT活用
(参考:公益法人 日本建築積算協会「 建築コスト管理士制度の概要」)
建築コスト管理士は、プロジェクトを大きく左右する重要な役割を担います。
積算の知識はもちろんのこと「建築工事が実現可能か?」「事業計画に問題はないか?」といった助言を行うなど、分析や発注戦略など高度な知識や能力が求められます。
業務内容
建築コスト管理士の業務内容は、主に以下の2つがあります。
- コストの透明性や確実性を追求した費用設計
- 発注者や設計者などに提案、助言
まず建築コスト管理士は、資材や庭や門、地盤工事など建築工事にかかるすべての費用を計算します。これはコストに透明性を持たせるためであり、分配をきちんと行い、共有することで不正防止にもつながります。
そして建築コスト管理士には、事業計画やプロジェクトの実現に向けた発注者や設計者などへの提案、助言も行います。
想定費用内でプロジェクト進行可能な検討するうえで、重要な役割を担うでしょう。
資材の発注や調達なども含めて実行し、コストマネジメント全般の業務を担当します。
就職先
続いて、建築コスト管理士の主な就職先を紹介します。
まずゼネコンをはじめとする建築会社への就職から、企業のCM部門、また設計事務所の発注者となり、建築プロジェクトに関するコストマネジメント職に勤めるといった例もあります。
コストマネジメントは、プロジェクトを指揮するポジションを全うするうえでも大切なスキルであるため、重宝されるでしょう。
転職においても、建築コスト管理士は大きなアドバンテージとなります。
建築コスト管理士における試験の基礎知識!
建築コスト管理士の試験は、毎年1回10月下旬に試験が行われています。試験は、札幌や仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、鹿児島、沖縄の9会場です。
この試験は誰でも受けられるわけではなく、受験資格が定められています。受験資格の他にも試験内容や難易度、受験方法などの必要な情報をご紹介します。
受験資格
受験資格は以下の3つのうちどれか1つでも条件を満たす必要があります。
- 建築積算士の称号を取得後、更新登録を1回以上行った方
- 建築関連業務を5年以上経験した方
- 一級建築士に合格し登録した方
上記の条件に当てはまれば誰でも受験することが可能です。大学で一級建築士の資格を取得していれば、建築関連業務を5年間行わなくてもすぐに資格試験を受けられます。
試験内容や難易度
建築コスト管理士試験の内容は、主に「学科試験」と「短文記述記述試験」からなる筆記試験です。
試験内容は以下の通りです。
学科試験 | 短文記述記述試験 | |
出題形式 | 4肢択一問題 | 200文字以内で解答する問題 |
出題数 | 60問 | 5問 |
時間 | 2時間30分 | 2時間 |
合格率は6割程度であり、試験内容はやや易しいレベルとされています。合格点や割合は毎年変動するため、参考程度に留めておきましょう。
実際の試験内容は、公益社団法人日本建築積算協会の公式サイトから確認できるのでぜひ活用してみてください。
受験方法
建築コスト管理士試験の受験方法は、3つの手順で完了します。
- 公益社団法人日本建築積算協会のホームページから申し込む
- 必要事項の記入と必要書類を送付する
- 払込用紙が届くので29,700円(税込)の受験料を支払う
申し込み時に一級建築士の方は、一級建築士免許証のコピー、学科免除申請者は建築コスト管理士試験結果通知書のコピーの送付が必要になるので注意しましょう。
なお、受験票は試験当日の2週間前までに発送されます。
建築コスト管理士は試験合格後に登録が必要
建築コスト管理士は、試験に合格したからといってすぐに始動できません。というのも、合格後に済ませなければならない手続きがあるからです。
- 登録関連書類に必要事項の記入
- 日本建築積算協会の個人正会員に登録
手続きには、以下の費用が発生します。
- 登録料:15,400 円(消費税込)
公益社団法人日本建築積算協会へ入会していない場合 - 入会金:2,000円
- 年会費:9,000円
なお、登録有効期間は永続ではありません。建築コスト管理士の資格は、5年間で登録更新をしなければならず、期間内にCPD(継続能力開発)単位を取得する必要があります。
まとめ
建築コスト管理士は、建築工事に関する必要コストを計算するだけでなく、さまざまな視点から工事が実現可能か検討しマネジメントする専門職です。
非常に重要な役割を担う仕事が担当でき、ステップアップや年収アップ、転職にも役立つでしょう。
試験の合格や登録手続きをクリアしなければいけませんが、建築コスト管理士というキャリアアップの道も視野に入れてみてください。