積算は工事ごとに利益を確保する上でとても重要な業務です。
その中でも解体工事での積算のやり方について解説します。
解体工事ならではのポイントやおすすめの解体積算ソフトについても詳しく説明しますので、解体工事に携わる方や積算の仕事をされている方はぜひ参考にしてください。
この記事の内容
解体工事における積算のやり方
解体工事における積算のやり方について解説します。
積算とはそれぞれの項目で必要な費用を計算していくことです。
解体工事の積算は難しい要素もありますが、具体的には以下の流れで積算を行っていきます。
- 歩掛を調べる
- 各項目を計算していく
- 解体工事特有の項目について検討する
それでは詳しく見ていきましょう。
歩掛を調べる
まずは解体工事の項目における歩掛について調べます。
歩掛(ぶがかり)とは工法や難しさなどが異なる作業に掛かる手間を数値化しているものです。
人が作業を行う場合など適正な金額の積算を行う上で歩掛は欠かせません。
同じ時間を作業しても工事の方法や難しさによっては作業量が異なるため、作業時間を中心に計算すると正確さが損なわれます。
歩掛を利用することで、根拠があり、現場に合った正しい積算を行うことができる可能性が高まるでしょう。
多くの企業は国土交通省が公表している「公共建築工事標準単価積算基準 」を元に歩掛を定めています。
積算における歩掛とは?計算方法やメリットなど解説各項目を計算していく
次にそれぞれの項目に必要な費用を計算していきます。
解体工事の流れで見ていくと、以下の4つの項目に分けて計算が必要です。
工事項目名 | 詳細 | 費用項目 |
---|---|---|
建物取壊費用 | 建物を取り壊す(解体)費用。
木造や鉄筋造など工法によって単価が異なる。 |
・建物解体費用
・内部解体費用 |
廃棄物処理費用 | 解体で生じた廃棄物の処分費用。
素材ごとに処理方法が異なるため、費用が異なる。 |
・廃材処分費用
・廃材運搬費用 |
付帯工事費用 | 建物の解体以外に必要な工事費用。
重機が敷地に入るための塀の解体費や植栽の撤去費用、作業のための足場費用、家具家電の処分費用など。 |
・家具家電の処分費用
・足場費用 ・建物養生費用 ・敷地内整地費用 ・仮設工事 |
諸経費 | その他で必要な費用。
解体に伴う申請や届出の費用など。 |
・重機運搬費
・申請料 |
建物の構造や材質によって、必要な重機や工期、処分費が大きく異なる事を理解して、積算を行うことが重要です。
これらの費用を積み重ねた工事の総額を「工事原価」と言います。
下の式で表せるように、純工事費に現場管理費を加算して工事原価を計算します。
「工事原価=純工事費+現場管理費」
現場管理費は工事中の管理に必要な費用のことです。
純工事費とは工事に直接必要な費用のことですが、下の式のように、さらに直接工事費と間接工事費に分けられます。
「純工事費=直接工事費+間接工事費」
直接工事費は工事に直接必要な費用の中でも、材料代、人件費、直接経費などの費用を指します。
一方で間接工事費は工事に対し間接的に必要な費用です。
例えば仮設事務所やトイレ、安全確保のための足場ネットや防音対策のシートなどの費用です。
それぞれの項目で必要な費用が漏れないように慎重に拾い出しを行っていきましょう。
解体工事特有の項目とは
解体工事ならではの項目があることも確認しておきましょう。
例えば、解体する建物の建材としてアスベストが使われている場合には注意が必要です。
人体に有害なアスベストを建材として使用している場合には、解体前にアスベストを取り除くための別途工事を行わなければなりません。
周囲にアスベストを飛散させないように注意して作業を行う必要があるため、工事費用を慎重に積算することが重要です。
他には、建設リサイクル法の対象であれば、解体工事の前に届出が必要となるため、注意が必要です。
床面積の合計が80㎡以上の建物を解体する際には事前に都道府県知事へ届け出なければならないことを覚えておきましょう。
解体業者が届出を行う際には時間や手間を考慮して、その費用も忘れずに見積に計上する必要があります。
解体工事費用を積算する際のポイント
赤字の工事にしないためにも、精度が高い積算を行うことが大切です。
注意すべきポイントについて説明します。
- 施工条件や構造を確認しよう
- 現地調査を行なおう
- 追加工事が発生する可能性がある点に留意しよう
それでは詳しく見ていきましょう。
施工条件や構造を確認しよう
全く同じ条件で解体できる現場はないため、工事の現場ごとに施工条件や構造を慎重に確認しましょう。
特に建築物の工法や構造、周辺環境、建材の種類や残置物、廃棄物の有無は積算をする上で特に重要です。
費用が大きく異なるポイントとなりますので注意をしましょう。
現地調査を行なおう
積算を行う際には必ず、事前に現場に赴き現地調査を行いましょう。
周辺環境によって、積算の金額が大きく変動します。
例えば、以下のようなケースが想定されます。
- 前面道路が想定より狭く、使用していた重機が使えず手作業が増えてしまった。
- 植栽や塀があるため、そのままでは敷地内に車両が入れず、先行工事が必要となった。
- 隣の家までの距離が近く、養生や防音対策が必要になった。
いずれも一度現場を見ておけば、事前に積算金額に含めることができるような状況。
現地調査を怠ったために契約後に追加費用で見積を出すことになると、トラブルの元にもなりますので、事前に十分に現場を見てから積算を行いましょう。
依頼主に立ち会っていただいた上で現地調査をできると、より詳しい情報も仕入れられるためおすすめです。
追加工事が発生する可能性がある点に留意しよう
実際に工事に入ってから判明し、追加工事が必要になる場合もあります。
例えば、解体工事を進めている最中に地中埋設物が出てくることがあります。
地中埋設物とは、浄化槽や、以前に建っていた建物の基礎部分や古い井戸などのことです。
これらの地中埋設物が見つかると別途で処分費用が必要となるため注意が必要です。
急に見積書に書かれていない追加費用を請求されると依頼主も驚いてしまうでしょう。
このため積算する際に「地中埋設物に心当たりがないか」確認した上で、工事中に発見された場合には処分費用が必要になることを事前に伝えておきます。
おすすめの解体工事積算ソフト
解体工事の積算をする際は積算ソフトを活用すると業務の効率化にもつながり、とても便利です。
ここでは以下のおすすめ積算ソフトを3つ紹介します。
- 解体見積EX
- 解体くん
- アイピア
それでは詳しくみていきましょう。
解体見積EX
「解体見積EX」は福井コンピュータシステムが提供している解体工事に特化したサービスです。
建物の面積に応じて積算を連動させることができる専用見積と、小規模な工事や廃棄物収集運搬の際などに利用しやすい汎用見積が使用できます。
専用見積では建物面積に連動し、計算式に基づき工事内訳や廃棄量の計算まで自動で行います。
また初期の見積フォームにはアスベストに対応した工事内訳や、狭小間口など手壊し解体に対応できるような仕様となっており、とても便利です。
届出書も作成可能な点も嬉しいポイントです。
30日間の無料体験版を利用することもできますので、ぜひ実際に操作してみてみましょう。
解体くん
「解体くん」は解体業者向けの管理システムです。
元々は原価管理を目的に開発されましたが、現在のシステムでは見積の作成や現場ごとのコスト管理まで、一元管理することができます。
具体的には見積~工事スケジュール~原価管理~請求~分析など様々な業務を「解体くん」で管理することが可能です。
インターネット環境があれば、スマホやPCで現場から日報を入力することができ、作業の効率化へと繋がっています。
使い始めは原価や労務費などマスター入力が大変だと感じるかもしれませんが、マスター作成支援のサポートが受けられるサービスもありますので、安心です。
詳しくは資料請求やオンラインにて問い合わせをすることができます。
アイピア
「アイピア」は解体工事専用の積算ソフトではありません。
ですが、解体工事を始めとした、様々な工事の積算に対応することが可能です。
エクセルと同じような感覚で使用することができ、最初から抵抗感なく操作することができます。
過去の工事情報をコピーして利用することにより短時間で見積を作成することができます。
またクラウドシステムを利用しているため、ネット環境があればどこでも内容を確認することが可能です。
「アイピア」は積算以外の業務を含めて一元管理できる点が最大の魅力です。
顧客からの問い合わせ~商談記録~積算~契約~現場管理~入金管理~請求など全て同じシステムで必要な業務を管理することができます。
デモ画面で実際の機能や効果を体感することができますので、ぜひ一度実際の画面にてお試しされてみてください。
上記の「アイピア」のように解体専用の積算ソフトでなくても、使い勝手のよい積算ソフトはたくさんあります。
業務全体を効率化したい会社は積極的に積算ソフトを導入しています。
「今使っている積算ソフトは使いにくい」「新規に積算ソフトを導入したい」など、積算ソフトについて検討されている方は、ぜひ以下の内容も参考にしてみてはいかがでしょうか。
積算ソフトはなにがいい?無料と有料それぞれのおすすめソフトをご紹介まとめ
この記事では解体工事ならではのポイントやおすすめの解体積算ソフトについて詳しく説明しました。
解体工事の積算は特殊な点もあり、十分に内容を理解した上で積算を行わなければ、赤字工事となる場合もあります。
建物の構造や周辺環境などによく注意した上で、見積を行いましょう。
また、積算ソフトを使用することで正確に積算ができるだけではなく、業務の効率化も可能です。
興味がある方はぜひ一度、検討してみてはいかがでしょうか。