現場管理費の計算について悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、建築において重要な作業である「現場管理費」の内訳など詳しく説明していきます。
この記事の内容
現場管理費とは?
現場管理費とは工事施工の際にかかる費用のことです。
以下、詳しく見ていきましょう。
現場管理費は工事費の一部
次に、現場管理費をわかりやすく表で説明します。
表にある通り、現場管理費は工事費の中の工事原価の一部である間接工事費に含まれる費用。
現場管理費は工事に直接的に関わる費用ではありませんが、工事を管理する為に必要な費用のことであり、間接工事費の中に含まれます。
なお、工事現場を管理する為にかかる費用を総じて「工事費」と呼びます。
現場管理費は大きく言えば工事現場管理の為にかかる費用の一部です。
工事に直接関わる費用ではありませんが、工事現場を管理する為に必要不可欠な費用といえるでしょう。
一般管理費との違い
次に現場管理費と一般管理費との違いについて説明していきましょう。
一般管理費とは、簡単にいうと会社の経営・運営の為に必要な経費のこと。
具体的に言うと、会社の本社支社の賃貸料や光熱費・会社で働く社員の給与や福利厚生費・管理する機械の管理費や会社の利益などです。
現場管理費は、現場における工事に直接関係しない費用ですが、一般管理費は現場と異なる場所における間接的費用と言える点が、大きな違いといえるでしょう。
また、現場管理費は工事が終わってしまえばかからなくなる費用ですが、一般管理費は会社の経営が継続する限りずっと必要な費用である点も違いといえます。
ちなみに、現場管理費は間接工事費に含まれると先述しましたが、工事に直接的に関係しないが、工事に必要な費用のことをまとめて「共通費」と呼びます。
共通費とは、一般管理費、現場管理費、共通仮設費の3つのこと。
共通仮設費とは工事の際に必要な仮設プレハブや光熱費、工事現場の看板やフェンスにかかる費用などを含み、こちらも工事が終われば取り壊され、必要なくなる費用です。
なお、一般管理費と共通仮設費については以下で詳しく解説しています。
工事における一般管理費とは?2022年に改訂された一般管理費率と併せて解説
積算において共通仮設費はどう計算する?内訳や計算方法を解説!
現場管理費の内訳
次に現場管理費の内訳について見ていきましょう。
労務管理費
労務管理費とは、現場管理者や現場作業員などの人材を募集する際にかかる費用や、給与以外の制服費用や交通費など。
また、労務保険等など災害時に負担する費用なども含まれます。
安全訓練等に要する費用
次に安全訓練等に要する費用です。
労務管理費に含まれることが多いですが、安全や衛星に関わる研修や安全訓練にかかる費用も現場管理費に含まれます。
租税公課
租税公課とは、簡単に言えば税金のこと。
具体的に国や自治体に納める税金や罰金、公共団体へ支払う会費や、自動車税や固定資産税などです。
契約の際に必要な謄本などの証紙代や印紙代なども租税公課に含まれます。
保険料
工事現場では万が一の事態に備えて様々な保険に加入しています。
使用車両の自動車保険、火災保険、労災保険、工事保険などがありますが、現場ならではの保険として挙げられるのは工事保険、組み立て保険、賠償責任保険でしょう。
工事保険とは、工事中に起こりうる様々な被害に対する保険のこと。火災や盗難災害などに対応してくれる保険です。
組み立て保険とは、工事の際に組み立てが必要な作業において、建築物に損害があった場合に損害が出る前の状態に戻す為にかかる費用を補償してくれる保険のこと。
賠償責任保険とは、現場作業での事故により第三者が被った被害(身体や建物など)に対して補償する保険のことです。
これらの保険料なども、現場管理費に含まれます。
作業員の給料手当
作業員の給料手当には、現場で働く現場管理者や作業員、現場の事務員の給与や残業手当・休日出勤代など諸手当や、賞与や通勤手当や危険手当などもこれに含まれます。
退職金
退職金とは、現場で働く管理者や作業員、事務員などの退職の際に支払われる退職金や退職給付金のこと。
労務管理費や給与とは別に分類されるので注意が必要です。
法定福利費
法定福利費とは、福利厚生に関わる費用の一つ。
現場で働く現場管理者や作業員、事務員の健康保険料や雇用保険料や労災保険料、厚生年金保険料などの、雇用主が支払わなければならない福利厚生負担費用です。
福利厚生費
複利厚生費は福利厚生に関わるもう一つの費用です。
現場のスタッフの為の慰安旅行や親睦会、慶弔見舞金や健康診断など、スタッフの健康や幸福の為の費用となります。
事務用品費
事務用品費は、現場の事務所で使う文房具やパソコンやコピー代、その他消耗品などの購入費のこと。
消耗費に分類される会社もあるようです。新聞や図書などもこれに含まれます。
通信交通費
通信交通費は、現場事務所で用いる電話代やインターネット料金などです。
交際費
交際費とは、現場におけるお客様への応対にかかる費用やお客様やお得意様などの慶弔などを含みます。
補償費
補償費とは、現場における工事に伴う騒音や振動や水が濁るなどによる補償の為の費用のことです。
外注経費
外注経費とは、現場の作業員などを専門業者に外注したときなどにかかる費用のことです。
工事登録等に要する費用
この費用は、現場における工事の実績を登録する際に必要な費用のことです。
動力、用水光熱費
動力・用水光熱費とは、工事費以外の現場で必要な水道代・ガス代・石油やガソリン代・電気代などのことです。
公共事業労務費調査に要する費用
次に公共事業労務費調査に要する費用です。
この費用は「公共工事設計労務単価」設定に必要な調査に必要な費用のことで、毎年金額が変わるので注意が必要です。
雑費
雑費とは、前述した項目に当てはまらない項目のことをいいます。
積算における現場管理費の重要性
次に、積算における現場管理費に重要性について説明します。
現場管理費は利益に直結する項目
現場管理費は、工事に直接関係しない費用ですが工事費に含まれる重要な項目です。
積算において現場管理費を正確に把握することで、無駄な費用を発見できたり費用削減に繋がり、利益に直結する項目ともいえるでしょう。
また、現場管理費を把握することで現場の全体像を把握することができるともいえるでしょう。
顧客から値引きされやすい項目
現場管理費は間接的に工事にかかってくる費用であり、作業員の給与なども含まれる為に利益の二重取りなのでは?と思われやすい項目といえるでしょう。
その為、現場管理費は顧客から値引き交渉されやすい項目ともいえます。
しかし、実際に工事を施工する為には現場で働く作業員の給与などは必ず必要であり、それに伴う費用(工事に直接かかる費用以外)も必要不可欠です。
直接工事に関わる材料費なども利益を乗せているとはいえ実際の工事においては材料が無駄になり利益はなくなるということもよくあること。
総じて工事に必要な費用であることを顧客に説明する必要があるでしょう。
全体を通して適切な利益で提供していることを丁寧に説明し、双方にとって納得のいく契約ができるよう、誠心誠意を持って金額説明をして信頼関係を結ぶことが重要といえます。
まとめ
本記事では、積算において重要な「現場管理費」について詳しく説明しました。
現場管理費は、工事に直接関係する費用ではないですが、正確に把握することで費用削減や利益アップに繋がったり、現場管理者にとっては現場を把握する為にも大変重要な費用といえるでしょう。
本記事を、より正確な積算業務を行う参考にしてなさってください。