建築積算士は、建築業界において建築物の設計や施工に関するコスト計算や予算管理を行う専門職です。主に建築会社や建設会社、設計事務所、建築コンサルタント会社などで活躍します。
今回の記事では、建築積算士の資格を取りたい方向けに、難易度やおすすめの理由・試験内容について徹底的に解説していきます。
この記事の内容
建築積算士資格の試験難易度は少し高い!
試験の難易度に関しては、結論から言うと「少し高い」と言えるでしょう。
合格率は、だいたい毎年6割程度となっており、他の資格と大きく変わりません。
しかし、建築積算士資格試験は、建築設計や工事の計画、見積もり、契約、施工管理、品質管理、安全管理などに関する広範な知識が必要とされます。
そのため、試験は多岐にわたる知識と技能を要求し、受験者に理解力や応用力を求めますので、特に建設業界で経験が浅い方や未経験の方には難しい資格と言えます。
建築積算士とは?
そもそも建築積算士とは、建築工事における積算(見積もり)や契約、施工管理、品質管理、安全管理などを行う人のことを指します。
具体的には、建築物の設計図面や仕様書などから必要な材料や工程、人件費などを見積もり、工事費用や総予算を算出します。
また、工事の進捗状況を把握し、予算や工程の管理を行い、工事中のコスト管理を行います。さらに、建築物の耐震性や防火性などに関する調査や評価も行います。
建築業界においては、建築積算士は不可欠な存在であり、建築工事の計画・設計から完成までの全ての段階において重要な役割を果たしています。
建築積算士の仕事内容
建築積算士の仕事内容を詳しく紹介すると、主要なものは以下の5つです。
- 見積もりの作成:建築積算士は、建築工事に必要な資材や人件費、諸経費などを算定し、見積もり書を作成します。また、建築現場での実際の作業や材料の調達などを考慮し、最適な見積もりを作成することが求められます。
- 契約書の作成:建築積算士は、契約書の作成にも携わります。建築工事に必要な条件や細かい仕様などを明確にし、契約書に記載します。
- 施工管理:建築積算士は、建築工事の現場で施工管理を担当します。工事の進捗状況や品質、安全に関する監督や調整を行い、トラブルの予防や解決に努めます。
- 品質管理:建築工事においては、建築物の品質管理が非常に重要です。建築積算士は、建築物の品質に関するチェックや検査を行い、問題があれば改善策を提案します。
- 安全管理:建築工事においては、安全管理が大切です。建築積算士は、現場での安全管理や安全教育などを行い、安全確保に努めます。
以上のように、建築積算士は建築工事の全体的な管理を担当することが求められます。
建築業界においては、建築積算士の専門知識やスキルは非常に貴重であり、キャリアアップの機会も多いです。
建築積算士の資格を取得するメリット
次に、建設積算士の資格を取得するメリットについて、紹介します。
主要なものは以下の2つです。
- 転職活動で有利になる
- キャリアのステップアップになる
順番に解説していきますね。
転職活動で有利になる
建設積算士は、積算や契約、施工管理、品質管理、安全管理などに関する専門知識があるので、建設業界での転職は有利に働きます。
また、建築現場での仕事に限らず、建築設計事務所や建設会社、官公庁など、さまざまな職種や転職先に活かすことができます。
転職を目指す場合は、上記のスキルや経験をアピールし、自己PRをしっかりと行うことが重要です。
キャリアのステップアップになる
転職とも被りますが、建築積算の資格はキャリアのステップアップになります。
自身が所属する企業での、キャリアアップにもつながりますし、好条件での転職にも有利になります。
建築積算士の試験概要
「建築積算士」の資格を取得するための試験について、概要を説明していきます。
受験資格
まず、建築積算士の試験を受けるためには、満17歳以上であれば誰でも受けることができます。
一次試験と二次試験にわかれていて、年1回、日本の各地で試験が行われます。
ただ、下記の経験者や資格保持者は、一次試験を免除されます。
- 日本建築積算協会が認定する建築コスト管理士、建築積算士補
- 建築士法による一級建築士、二級建築士及び木造建築士
- 建設業法による一級及び、二級建築施工管理技士
- 日本建築積算協会が実施する積算学校卒業生
- これまでの一次試験合格者
試験の開催時期
建築積算士の試験は、一次試験が10月・二次試験が翌年の1月に実施されます。
試験内容
建築積算士の試験は、一般社団法人建設コスト研究所が実施しています。
試験は、建築積算技術の知識と技能を評価するもので、以下のような科目から構成されます。
- 建築法規:建築物の設計、施工、竣工に関する法律や条例に関する知識
- 建築構造:建築物の構造に関する知識
- 建築設備:建築物に必要な設備や機器に関する知識
- 建築施工:建築工事の施工方法や工程、施工管理に関する知識
- 建築積算:建築物の概算、詳細、実測積算方法に関する知識
- 建築資材:建築資材の性質や性能、用途に関する知識
- 建築物価格:建築物の価格形成に関する知識
一次試験では、建築における基礎的な知識や数量積算基準・標準内訳書式に関する問題が、4択の選択問題で50題出題されます。
二次試験では、短文の200字論述問題が2問、実技として図面や資料に基づいて数量を計測・計算し、内訳明細書を作成する問題が4問、出題されます。
試験会場
一次試験は、北海道(札幌)・宮城(仙台)・東京・愛知(名古屋)・大阪・広島・福岡・鹿児島・沖縄の9会場で行われ、二次試験はさらに石川(金沢)を加えた10会場で行われます。
受験にかかる費用
受験費用は、社会人であれば27,500円、学生であれば13,750円です。
建築積算士の資格取得でスキルアップを目指そう!
積算の業務は資格がなくてもできるが、専門的な知識が必要な時もあるため、スキルが必要となります。
そのために、建築積算士の資格を持っていると、転職・スキルアップの立派な実績となります。
また受験資格は年齢制限のみ(17歳以上)なので、受けやすい資格でもあります。興味がある方は、ぜひ資格取得を目指してみてください。