VE提案は、サービスの質を下げずにコストダウンを図ることができるとして、近年建設業界でも注目されています。
今回は、建設業界におけるVE提案について、期待できる効果や進め方などを詳しく解説していきます。
この記事の内容
建設業におけるVE提案とは?
VE(バリュー・エンジニアリング)提案とは、コストダウンとサービスの品質維持の実現を目指す提案のこと。
工事を受注する業者が顧客に向けて提案する手法です。
それでは、建設業界におけるVE提案について、必要とされる理由・VE提案の種類・VA提案との違いについてそれぞれ詳しく見ていきます。
- VE提案が必要とされる理由
- VE提案の種類
- VEとVAの違い
VE提案が必要とされる理由
始めに建設業界においてVR提案が必要とされる理由は以下の通りです。
- 長い時間を要する工事全てのフェースで提案が可能である
- サービス品質を維持または向上しつつコストダウンを実現できる
建設業界では、工事の企画から完了まで長い時間がかかり、建築物の規模が大きくなるほどコストもかかります。
しかしコストダウンを重視しすぎるとサービスの質が下がるため、品質とコストのバランスを意識しなくてはなりません。
さらに1つの工事にはさまざまな業種・業界が関わるため、利害関係者も複雑化しがちです。
VE提案を取り入れることにより、生産性の効率化・品質維持・コストダウンを実現できます。
複雑化しやすい利害関係者のニーズを満たすことができれば、トラブルや問題を未然に防止できるのもメリットです。
VE提案の種類
VEは、建築工事全てのフェーズで提案が可能ですが、ここでは国土交通省が推進※する「設計・入札時・契約後」の3種類について紹介していきます。
設計VE(設計段階)
設計VEは、ライフサイクルコストを考慮した経済性の追求と、必要機能を確実に達成するのが目的です。
また設計段階においては、施設の機能を検討・分析し最適な確保を目指すための取り組みを実施します。
入札時VE(工事入札段階)
入札時VEは工事入札段階で、発注者が施工業者の提案を比較して採用する業者を決めるときに行われるものです。
施工業者の提案内容を比較する場合には、価格競争に基づく入札の他に、提案内容を採点し総合評価で選ぶ場合があります。
契約後VE(施工段階)
契約後VEは、民間の技術開発を積極的に取り入れ、建設工事のコストダウンを図る目的です。
契約後に受注者がコストダウン可能な技術提案を受け入れると、請負代金額と低減された額の割合から点数を算出し各自治体の落札方式評価点に加点されます。
VEとVAの違い
日本語訳するとVE(Value Engineering)は「価値工学」、VA(Value Analysis)は「価格分析」となります。
どちらもコストダウンを図る目的がありますが、VEは新製品やサービスが対象で、VAが既存製品やサービスを対象にしているのが違いです。
VE提案で期待できる効果
ここからは、建設業界におけるVE提案で期待できる効果について解説していきます。
- 品質を担保したインフラ整備が可能になる
- 顧客満足度アップにつながる
品質を担保したインフラ整備が可能になる
建設業界におけるVE提案は、品質を担保したインフラ整備を実現する効果が期待できます。
昨今では建設業界のインフラ老朽化による品質低下が問題視されています、VE提案により品質が保証されます。
VE提案は、インフラ老朽化問題対策になるのもメリットと言えるでしょう。
顧客満足度アップにつながる
VE提案は品質を維持しつつコストダウンを図れます。
従来は品質を重視するとコストがかかるので、受注者にはデメリットでした。
しかしVE提案では品質とコストダウンを両立できるので、顧客満足度が高まります。
顧客満足度が高まれば自社評価もあがり、受注増加を見込めるのがメリットです。
建設VE提案の手順6ステップ
それでは、VE提案をスムーズに進めるために知っておきたい6つの提案手順を紹介していきます。
それぞれのステップでは、注意点についても解説していきますのでぜひ参考にしてください。
- 情報収集する
- 定義付けと整理をする
- 分析する
- 提案する
- フォローする
- 評価する
情報収集する
始めに行うのは情報収集です。
対象におけるコスト・求められる技術・品質・顧客ニーズ・他社の情報などできるだけ多くの情報を集めましょう。
しっかりと情報収集しておくことで、問題点の把握にも役立ちますし競合との差別化も図れます。
定義付けと整理をする
建設業界における対象物は多岐にわたり、それぞれ求められる機能も異なります。
まずは目標を設定し、それぞれの機能や情報に関連付けながら整理するといいでしょう。
事前にしっかりと情報収集しておくことで、解決しなければならない問題点も把握しやすくなり定義付けと整理にも役立ちます。
分析する
建設業界における対象は範囲が広大なため、優先順位を決めるためには分析が欠かせません。
ここでも始めに収集した情報が役立ちますが、分析により機能ごとの目標コストも決めやすくなります。
提案する
ステップ1~3で集め整理し分析した情報を元に、発注書に提案を記入していきます。
建設業界における提案書は書式が決まっているので、主催者が提示する提案書の書式に従いましょう。
フォローする
VE提案は提出したら終わりではありません。
結果が出るまでの間に、報告書の作成とフォローも必要です。
報告書には、どれだけコストを削減できたか、提案した機能の効果や評価、作業スケジュールや目標達成状況をグラフなどでまとめましょう。
必要な書類があれば添付しておくと、有効性を実証しやすくなります。
評価する
全ての作業が完了したら、評価にうつります。
作成したVE提案書を見直し、社内や関係者での情報共有も必要です。
全体を見直し評価を書き込み。問題点や改善点を明確化させ次回に活かしましょう。
建設におけるVE提案事例
それでは最後に、建設におけるVE提案事案を2つご紹介します。
- 工事コストを大幅に削減した事例
- 災害被害リスクを低減させた事例
工事コストを大幅に削減した事例
工事コストを大幅に削減した事例として、株式会社アクアの事例を紹介します。
観光地のラグジュアリーホテルの新築工事において問題だったのが、起伏のある敷地を平坦にするためにかかる膨大なコストでした。
そこで、配棟計画の見直しとして4つのVE提案を作成しました。
項目 | VE提案 | 効果 |
配棟計画の見直し | 土地形状を踏まえた配当計画案を起案し、場外搬出土の削減 | 搬出土削減による工事費削減 |
共用棟の平面プラン見直し | 直接収益を生まない共用部の計画について見直し及び面積縮小 | 延床面積の縮小による工事費削減 |
宿泊棟の平面プラン見直し | 全体のデザインや利用者のメリットを損なわない範囲で一部取止 | 一部バルコニー中止による工事費削減 |
構造計画の見直し | 基本計画段階における構造設計代案を策定し設計者に提案 | 躯体工事費の削減 |
全てのVE提案は採用されなかったものの、初期での合理化を達成したことで大幅なコストダウンを実現しています。
参照:株式会社アクア|ラグジュアリーホテルにおけるVE事例のポイント
災害被害リスクを低減させた事例
災害被害リスクを低減させた事例として、株式会社フジタの事例を紹介します。
工事は、市街地繁華街の公道上での連絡通路架設工事です。
当初の計画では、夜間に道路を占領して上空で行う案だったため、工事が長期化する懸念がありました。
VE提案では、鉄骨建方順序を調整し場外で外装まで仕上げ、一晩で架設すると提案しています。
これにより、VE節約率52.5%・労務省力化率60%を達成。
さらに公道上空作業を回避したことで、第三者への飛来落下災害と作業員の墜落災害リスクも軽減されています。
まとめ:建設業で最適なVE提案を実施しよう!
今回は、建設業界におけるVE提案に期待される効果、進め方の手順などについて解説しました。
VE提案は、品質維持とコストダウンの両立に役立つだけでなく、発注者も受注者にもメリットがあります。
顧客の満足度を高めることができれば、受注増加も期待できるでしょう。
本記事で解説した内容を参考に、最適なVE提案を実施してください。