電気工事の積算は利益をしっかりと確保するためにも非常に重要です。
積算の流れを理解しておくことで、根拠のある積算を行うことが可能になります。
この記事では電気工事における積算の流れや注意点について詳しく説明しますので、電気工事に携わる方はぜひ参考にしてください。
この記事の内容
電気工事の積算で押さえておきたい基本
まずは電気工事の積算で抑えておきたい基本について説明します。
ポイントとなる以下の3つについて、詳しくみていきましょう。
- 積算基準
- 労務単価
- 歩掛
電気工事の積算では良く耳にする言葉ですので、しっかりと理解しておきましょう。
積算基準
積算基準とは工事内容の定義や工事における金額の計算方法を示すガイドラインです。
見積書作成の効率化を目指すこと、金額が妥当であるか確認し、適正金額での見積りの提示を促すことが目的です。
電気工事では国土交通省による「公共建築工事標準単価積算基準」や「電気設備工事積算要領」などに、積算基準が記載されています。
積算基準には工事部材の規格や、単価の算定、諸経費の考え方が記載されており、積算が正しく行われているか確認することができます。
積算基準に基づいて、正確な積算を行うことが重要なポイントです。
労務単価
労務単価とは工事を行う作業スタッフに支払う作業費です。
例えば、基本給や手当、ボーナスや現物支給などがあります。
国土交通省が都道府県ごとに設定した「公共工事設計労務単価」に基づいて公共工事が行われますが、民間工事でもこの単価を参考に設定されることがほとんどです。
歩掛
歩掛とは電気工事において各種作業に必要な時間や日数と作業スタッフの人数をある条件に基づいて算出したデータです。
単位は「人工(にんく)」で表され、1人工は1人のスタッフが8時間(1日)で行うことができる作業量になります。
そのため1人で4時間かかる作業は、0.5人工、4人で1日かかる作業は4人工と表現されることが一般的です。
実際には作業員の実務経験や持っている資格、年齢によっても異なります。
例えば、経験が20年ある人と、経験が半年の人では1つの作業に必要な時間が異なるでしょう。
作業員ごとの歩掛がはっきりとしていれば、工事内容に応じて最適な人員配置を行うことが可能です。
歩掛は材料費のように単純な掛け算で算出できるものではありませんので、より正確に積算するためには重要なポイントとなります。
国土交通省が「公共建築工事標準単価積算基準」にて標準歩掛を細かく設定しているため、この数値を参考にしている会社が多いです。
電気工事における積算の流れ
電気工事の積算の流れについて説明します。
以下の流れで積算を行っていくことが一般的です。
- 必要な設備を確認する
- 労務費を算出する
- 材料費を算出する
それでは詳しく見ていきましょう。
必要な設備を確認する
図面を元に必要な設備を確認します。
建物特有の設備が必要か不足している設備はないか、改修が必要な設備はないか、といった点も合わせて確認しておきましょう。
建物外部に設備が必要な場合もありますので、確認漏れがないように注意が必要です。
労務費を算出する
必要な設備の確認が終われば、次は労務費を算出します。
作業員ごとに作業費を計算し、工事全体で労務費がいくらかかるか算出します。
民間の電気工事でも国土交通省が公表している公共工事設計労務単価を元に労務費を計算することが一般的です。
材料費を算出する
図面から必要な材料を拾い出し、材料費の概算を算出します。
照明器具の数や種類、配線部材の長さ等を正確に拾い出し、単価に数量を掛けて積算を行います。
部材の数や長さを間違えないように慎重に拾い出しを行うことが重要です。
ここで拾い漏れや間違いがあると、赤字工事の原因になるため注意が必要です。
図面や配線図からの拾い出しは時間がかかる作業ですが、間違いが無いよう慎重に行いましょう。
電気工事で積算する際の注意点
電気工事で積算をする際の注意点を説明します。
特に注意すべき点を3つ紹介します。
- 図面拾い出しでミスが起きやすい
- 適切に原価と利益を設定する
- 積算にかける時間にも注意
それでは詳しくみていきましょう。
図面拾い出しでミスが起きやすい
図面や配線図を元に、拾い出しを行っていきますが、その際にミスが発生しやすいので注意しましょう。
図面に線が多いと必要な線の数を間違えやすくなります。
また、配線図では配線に必要な部材の長さを間違いないように注意が必要です。
当然ながら、部材は種類によって単価が異なりますので、部材の種類を間違えると、合計金額に影響が出ます。
顧客からの信頼を失う可能性があることも理解した上で、慎重に拾い出しを行っていく必要があります。
適切に原価と利益を設定する
適切に原価と利益を設定することが重要です。
適切な利益を確保できなければ事業として継続していくことは難しいです。
また、原価に利益を乗せすぎれば、競争力を失った価格となり、受注が難しくなります。
材料単価や労務単価、歩掛などの分析を行い、適正価格で見積りを出せるよう、企業努力を行いましょう。
積算にかける時間にも注意
積算にかける時間も人件費が発生しているため、効率的に進めることが大切です。
拾い出しから見積もり作成は時間がかかる業務です。
積算ソフトを活用するなどして、時間短縮を意識しながら効率的に仕事を進める必要があります。
見積もりソフトは電気工事業に特化したソフトの利用がおすすめ
見積もりソフトはどの業種でも使えるような汎用性の高いものではなく、電気工事業に特化したソフトを使用することをおすすめします。
専用ソフトを使うことで効率よく作業できる可能性が高くなるでしょう。
ここからは、電気工事業に特化したソフトを利用することのメリットやデメリット、おすすめのソフトについて紹介します。
それでは具体的にみていきましょう。
メリット
電気工事業に特化したソフトを利用することのメリットについて説明します。
電気工事業者ならではの書類に対応している
汎用型のソフトでは「工事台帳」などへの対応が難しいもの。
この点、電気工事業に特化したソフトだと、時間がかかりがちな工事台帳や実行予算書も簡単に作成することが可能です。
電気工事業者に対応した見積もりを算出できる
電気工事業に特化したソフトでは、複合単価や材料と工事を別単価での見積もり作成など算出可能です。
複雑な見積もりもシンプルな作業で作成が可能なため、業務効率はかなり高くなります。
正確な原価管理や見積価格を算出することが、適正価格での受注につながってくるため、電気工事業者に対応した見積もりを算出できることが大きなメリットとなります。
デメリット
大きなデメリットは費用がかかることです。
汎用型のソフトであれば、無料ソフトを活用することも可能で、高くても数万円程度の商品が多くなっています。
一方、電気工事業に特化した積算ソフトは数十万円~100万円以上になることもあり、高く感じられるかもしれません。
初期費用は掛かってしまいますが、導入後の費用対効果に注目してみましょう。
専門性が高い電気工事業の積算ソフトですので、初期費用のみで安易に決めることがないように慎重に検討する必要があります。
電気工事業に特化したおすすめソフト
ここでは、電気工事業に特化したおすすめソフトをご紹介します。
具体的には、以下2つです。
- 積算らいでん
- でんきやさんV5
それぞれ見ていきましょう。
積算らいでん
積算らいでんは電気工事業などの見積もりに特化した積算ソフトです。
多機能に利用できる他、「原価らいでん」など同シリーズのソフトと連携して積算効率をアップするといったことも可能です。
でんきやさんV5
でんきやさんV5も積算らいでんと同じく電気工事業の見積もりに特化した積算ソフト。
月額13,200円で利用できるプランも用意されているなど、価格面でのメリットも大きく、まずは試しで利用したいといった方にもおすすめだといえるでしょう。
その他フリーソフトやおすすめの積算ソフトランキングについては以下の記事でも紹介しています。
積算ソフトはなにがいい?無料と有料それぞれのおすすめソフトをご紹介
まとめ
この記事では電気工事における積算の流れや注意点について詳しく説明してきました。
電気工事の積算では注意すべき点がおおく、ミスは赤字工事や顧客からの信頼を失うことに
繋がってしまいます。
積算業務をサポートする役目として積算ソフトがありますので、積算ソフトを使いこなすことで、積算業務がかなり効率よくなります。
どのような積算ソフトが自分に合っているのか考えながら、電気工事業に特化したソフトや汎用性の高いソフトに触れてみましょう。
積算は利益をしっかりと確保するためにも非常に重要な業務です。
初期費用が掛かりますが、専門性が高い電気工事業の積算に幅広く対応できる特化型のソフトをおすすめします。