公共工事と民間工事の違いは大きく3つ!発注までの流れも解説

工事に携わる方なら多くの方が耳にしているであろう、公共工事と民間工事。それぞれの工事には大きな違いがあることをご存知でしょうか。

施工者や進め方などの違いを把握しておくことで、より効率かつスムーズな工事が可能になります。

そこで本記事では、公共工事と民間工事の違いを詳しく解説します。公共工事と民間工事の発注までの流れや、発注先の決定方法についてもあわせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

公共工事とは?

公共工事とは、国や都道府県、市町村が税金を予算として発注を行う工事のこと。公的に所有・運営される建設プロジェクトであり、政府機関によって監督されています。

公共工事の種類は「土木工事」「建築工事」「管工事」「電気工事」「造園工事」の5種類に大別されます。主な工事対象として、道路や橋、下水道、ダム、公園、灌漑システム、発電所、洪水調節システムなど、公共の施設が該当します。

公共事業は、環境の改善や生活の質の向上など、一般市民の生活を支えることを目的として実行されます。

民間工事とは?

民間工事とは、個人や企業が請負業者となり、資金調達による財源をもとに発注される工事のこと。公共工事以外は全て民間工事に該当します。

民間工事で建設される建造物は、一般的なビルや住居、福祉施設、自治体の管理下にない水道工事も当てはまります。

民間工事は、適正な品質担保をし、安全な建築物を企業や個人に提供することを目的に実施されます。

公共工事と民間工事の違い

実行予算の注意点

公共工事と民間工事の違いはさまざまありますが、大きく分けると以下2点の違いがあります。

    • 資金調達方法
    • 工事発注までの流れ

資金調達方法

まず、資金調達方法に大きな違いがあります。

公共工事は税金、民間工事は個人や企業による銀行融資や民間投資などの資金調達が主な財源となります。

また、民間工事は見積もりを算出するのに対し、公共工事は競争入札が実施されることが多い点も異なります。

工事発注までの流れ

また、建設工事の発注における流れも公共事業と民間事業で異なります。

公共工事の場合、まず発注機関が請負業者に提案依頼書(RFP)を送付します。その後、請負業者は入札を行い官庁が落札業者を選定します。

民間の建設プロジェクトは、通常、請負業者と所有者の間で交渉が行われます。プロジェクトの規模によっては、このプロセスに複雑な契約や仕様が含まれることもあります。

公共工事の工事発注までの流れ

では公共工事の工事発注までにおける流れを3ステップで紹介していきましょう。

  1. 資格審査する
  2. 入札する
  3. 発注する

資格審査を受ける

公共工事は、入札の前に審査を受ける必要があります。

経営事項審査(経審)を受けてから、公共工事の発注機関に入札参加資格審査の申請をしなければなりません。

なお、審査の項目は大きく以下4点です。

  1. 建設業の許可有無
  2. 経営事項審査の受審有無
  3. 各種税金の未納有無
  4. 欠格要件の該当有無

建設業許可を受けていなければ申請できませんので、公共工事に入札参加するためには、まず建設業許可を取得することから開始しましょう。

入札する

続いて、入札に入ります。公共工事の場合は通常、最も安く有利な入札額や条件を提示した個人または企業が受注者として選ばれます

公共工事の入札には大きく4つの種類があります。

  1. 一般競争入札
  2. 公募型指名競争入札
  3. 工事型指名競争入札
  4. 指名競争入札

プロジェクトによっては、特別な経験や免許など、他の要素も考慮されて発注者が決定されることもあります。

発注する

資格審査が行われ、入札業者が決まれば、発注が可能になります。

その後、決定した業者によってプロジェクトが進行します。

民間工事の工事発注までの流れ

一方、民間工事の発注をする場合は、下記の5ステップが一般的な流れとなります。

  1. 設計業者を選定する
  2. 設計業者や設計監理業者が設計や積算を実施する
  3. 見積もりを行う
  4. 設計監理業者や工事業者と協議・調整する
  5. 発注する

設計業者を選定する

民間工事最初のステップは、設計業者を選定することです。

プロジェクトの規模や範囲に応じて、設計請負業者や設計監理業者を選択することになります。

設計業者や設計監理業者が設計や積算を実施する

続いて、設計業者や設計監理業者が図面や仕様書を作成し、費用の見積もりを行います。

このプロセスは、異なる業者間のコスト比較を可能にするため、すべてのプロジェクトに必要なものです。

見積もりを行う

図面や仕様書が完成すると、設計業者は費用の見積もりを出すことができるようになります。これは、プロジェクトにかかる費用の目安になるため、発注する際の重要なステップとなります。

設計監理業者や工事業者と協議・調整する

見積書が完成したら、設計業者と工事業者の両方と話し合いを実施します。
これは、最終的な発注を行う前に、調整や交渉を行うための重要なステップとなります。

発注する

最後に、設計業者と施工業者の双方とコストなどの交渉を行い、発注することができます。
これが発注の最終段階であり、工事段階の始まりとなります。

公共工事と民間工事の違いを理解して適切に活用しよう

公共工事と民間工事には、資金調達方法と発注までの流れと大きく2つの違いがあります。

中でも、公平性担保するために公共工事にのみ入札が適用される点は、明確な違いと言えるでしょう。

民間工事を実施する際に入札はなく、依頼する業者を実績や経験、技術を踏まえたうえで選定する必要があります。

両者の違いを把握して、正しい方法で発注をしましょう。